Parallel Plastics - プラスチックをもう捨てない Parallel Plastics - プラスチックをもう捨てない

Case Studies - Pigeon

哺乳びんの"余り"から、家族の勲章へ。

ピジョンと描いたNICU卒業メダルの物語

哺乳びんの製造過程で生まれる「余り」のプラスチックを、NICUを卒業するご家族への小さな勲章へ。
ピジョン株式会社とParallel Plastics が共創した、「赤ちゃんと家族の日々に寄り添う」メダルプロジェクトのストーリーです。

哺乳びんをつくる工場で、製品としてお客様の手に届くことのないプラスチックがあります。
製品としてお客様に届くプロダクトがある一方、その裏で誰の手にも渡らず役目を終えるものたち。

Parallel Plastics を立ち上げたタイミングで、ピジョン株式会社のデザインチームから連絡をいただきました。
「この哺乳びんの工場で発生するプラスチックを、もう一度"赤ちゃんのそばにあるもの"として生かせないか」。
こうして、100%リサイクルの新しいマテリアルづくりから、ピジョンさんとの共創が始まりました。

ピジョン株式会社は、1957年創業。哺乳びんでおなじみの、育児用品メーカーです。
私たちはまず、哺乳びんの製造過程で発生したプラスチックを活用し、石のような質感を持つマグネットやタグプレートを開発しました。
そこには、原料である哺乳びんの色や素材感がそのまま表れます。

株主総会で株主の方々に手渡されたり、商業施設で開催されたイベントでママたちにプレゼントされたり。
「赤ちゃんとの時間を支えるプラスチックが、また別のかたちで、誰かの手元で役に立つ」——。
そんな小さな循環が、生まれ始めました。

哺乳びんの製造過程で発生したプラスチックからつくられた「マグネット」。
哺乳びんの製造過程で発生したプラスチックからつくられた「マグネット」。

「どんな未来をつくりたいのか」を見つめ直すプロセス

しばらくして、「哺乳びんをはじめとする育児用品の製造過程で発生したプラスチックを使って、社用スマホのケースをつくれないか」というご相談をいただきました。

スマホ本体は、いずれ機種変更で手放される。せっかく作るのだから「長く愛されるプロダクト」にしたい。
ただのノベルティではなく、ピジョンさんが大切にしている価値観を、そっと日常に届ける存在に。

そこで私たちは、プロダクト単体の議論をいったん脇に置き、「この取り組みを通して、どんな未来をつくりたいのか?」を一緒に見つめ直すところから始めました。

ワークショップで出てきたのは、数字では測れない、たくさんの「願い」でした。

  • 子どもや赤ちゃん、子育てに、もっとポジティブなイメージを持ってもらいたい
  • 誰もが「赤ちゃんを迎えたい」と自然に思える社会がいい
  • 赤ちゃんを、社会全体で大事にしたい
  • ピジョンが「赤ちゃんの未来」を本気で考えていることを、ちゃんと伝えたい
  • ワクワクしたいし、ワクワクさせたい
  • ピジョンファンを増やしたい
  • ピジョンのブランドで、もっと"愛される存在"になりたい

コンセプトの種として出てきたのは、「子育てを頑張るママの緊張を、ユーモアでそっとゆるめたい」というインサイトでした。

しかし、ここからが難しかった。
ユーモアにとらわれてしまい、「面白くしなきゃ」と考え過ぎて身動きが取れなくなり、真面目さが勝って、遊び心が消えていく。
プロジェクトは、0→1の挑戦をしながら、手が止まってしまい「うまくアウトプットできない」難しさに直面しました。

行き詰まりからの再スタートと、『NICU卒業メダル』誕生

そこで、一度仕切り直しました。まずは、チームが動きやすくするためにルールをつくることから始めます。

  • ワクワクを大切にする
  • 軽く動く
  • とにかくプロトタイプ
  • とにかくアイデア
  • 思い残さない

そして、コンセプトも問い直しました。たどり着いたテーマは、「NICU を卒業するご家族への贈り物」です。

NICU(新生児集中治療室)から退院するという、大きな節目。
それは同時に、「これから、この子とどう歩んでいくか」という本当のスタートでもあります。

助産師の経験のある社員や、赤ちゃんの研究やモニターテストを行う部署のメンバーへのインタビューを重ねる中で、こんな声が浮かび上がってきました。

浮かび上がってきたこと

赤ちゃんが入院を余儀なくされたことへの不安、日々の病状への一喜一憂。これまでの日々をゆっくり振り返るタイミングを逸してしまっていることが少なくない。

家族全員が一緒に過ごせるよろこびと同時に、これからどう育てていくかという不安を抱える方もいらっしゃる。

病院スタッフの皆さんも、その気持ちに寄り添いながら、日々、命と真正面から向き合っておられる。

NICU の現場では、病院スタッフもご家族も、それぞれの立場で精一杯に赤ちゃんを支えています。
だからこそ、ピジョンとしては、その日々の歩みそのものを、そっと讃えられるような存在を届けたい——。

そんな想いから生まれたのが、「懸命に日々を過ごした赤ちゃんとご家族の頑張りを讃えてメダルを贈る」というアイデアでした。

プロジェクトは、1年がかりでした。その間、試作をいくつもつくり、ディスカッションを重ね、即興でアイデアを出し合い、改善を続けました。
かつては「真面目さ」が重たさに変わってしまったチームが、「軽く動く」「まずつくる」という新しいルールのもとで、遊び心と本気を両立できるようになっていったのです。

「余り物」だったプラスチックが、小さな勲章になるまで

哺乳びんの製造過程で発生したプラスチックからつくる「メダル」。
NICU を卒業するご家族一人ひとりに、「ここまで本当によく頑張ってきましたね」と伝えるための、小さな勲章です。

メダルには、赤ちゃんと過ごしてきた時間の中から選んだ写真を収められるようにしました。
NICU を卒業したあとも、写真立てとして長く手元に残り、ふとしたときにあの頃を振り返るきっかけになるように。

哺乳びんの製造過程で発生したプラスチックからつくる「メダル」。
哺乳びんの製造過程で発生したプラスチックからつくる「メダル」。

このメダルは、「ピジョンから、ご家族全員への贈り物」という位置づけです。
実際には、ご家族に最も近い存在である病院スタッフの皆さんから手渡していただきます。
企業としての存在感を前に出しすぎることなくピジョンの応援の気持ちを、いちばん自然なかたちで届けたいと考えたからです。

さらに、リトルベビーサークル様(早産児・低出生体重児とご家族を支援する団体)とのイベントでは、NICU を卒業して成長したお子様に、ママやご家族が言葉を添えてメダルをかけてあげるワークショップとしても活用されています。

「赤ちゃんのころの自分」に興味を持ち始めた子どもたちが、自分でメダルをつくり、その時間を一緒に振り返る。
メダルは、NICU の退院の日だけでなく、その後の家族の物語にも寄り添う存在へと広がっていきました。

そうやって、プラスチックは「余り物」から、「懸命に過ごした日々を称え、何度でも思い返せる記憶のピース」へと、役割を変えていきました。

メダルを受け取ったご家族からは、こんな声が届きました。

ご家族の声

当時は、生まれたことを肯定するのに時間がかかった。この企画のおかげで、「産まれてくれたことへの感謝」を、より強く感じられた。

写真を選ぶところから楽しくて、何度も考えて選んだ写真がメダルになってくれて、嬉しかった。

ちょうど子どもが「赤ちゃんのころの自分」に興味を持ち始めていて、ワークショップで自分でつくれたのが、とてもよかった。

哺乳びんを支えるプラスチックが、NICU を卒業した家族の「おめでとう」「ありがとう」「よくここまで来たね」という気持ちをつなぐメダルになる。
そんな新しい循環が、少しずつ広がっています。

「人の願い」からはじまる、Parallel Plastics の共創

私たち Parallel Plastics は、「どうすれば、ユーザー自身もまだ気づいていない望みに応えられるだろうか?」この問いを軸に、パートナーと一緒にサービスやプロダクトをつくっています。

ピジョンさんとの共創を通じて学んだのは、余り物のプラスチックという"課題"を起点にしても、そこから立ち上がるのは、いつも"人の願い"だということです。

まだ言語化されていない、自社ブランドの「本当はこうありたい」。
数字では測れない、ユーザーの「言葉にならないモヤモヤ」。
捨てられている素材に眠る、「もう一度、誰かのそばに行きたい」という可能性。

こうした断片を、一緒にすくい上げて、かたちにしていく。
それが Parallel Plastics の共創です。

もし、自社のなかに——

  • 生かしきれていない素材や副産物がある
  • ユーザーの「本音の願い」をもっと丁寧に汲み取りたい
  • 社内のメンバーと、一度"ワクワクを取り戻す"ようなプロセスに挑戦したい

そんな思いが少しでもあるなら、ぜひ一度、Parallel Plastics に声をかけてください。
プラスチックの行き先だけでなく、自社ブランドの「これからの物語」も、一緒にデザインしていきましょう。

Parallel Plastics と、次の共創をはじめませんか。

余剰在庫や副産物となっているプラスチックを、「誰かの物語に寄り添うプロダクト」へ。
まずはオンライン相談で、御社の資源が持つ可能性や、共創のステップについてお話ししませんか。